「税金で買った本」は、不良少年が過去に紛失した1冊の本をきっかけに図書館でアルバイトを始めるお仕事モノ。
一見地味な題材に感じますが、普段何気なく利用している図書館の意外な実情がテンポよく描かれていて、一度読むとグイグイと引き込まれます。
原作者のずいのさんは図書館勤務経験のある方で、おそらく過去に頭を悩ませたであろうリアルな迷惑エピソードも見どころのひとつ。
元はヤンマガWebでの連載でしたが、のちのヤンマガ本誌連載争奪杯で勝ち抜き、ヤングマガジン本誌に連載を移しました。
連載は現在も継続中で、単行本は8巻まで講談社より出版されています。
本記事では、読めば図書館に行きたいという気持ちが湧き上がること間違いなしな「税金で買った本」の魅力をじっくり確認していきましょう。
図書館の裏側を覗ける
「税金で買った本」は、図書館を舞台にした作品です。
『税金で買った本』ずいの / 系山冏(講談社)
小学生ぶりに図書館に訪れたヤンキーな石平くん。その図書館で働く早瀬丸さんと白井くんに10年前借りた本を返却していないことを指摘される。その指摘をきっかけに図書館に通うようになるどころか働くことになる石平くんの図書館お仕事漫画。
参照:https://booklive.jp/product/index/title_id/1052880/vol_no/001
物語は基本的に1話完結型で、好奇心旺盛な高校生アルバイト・石平くんの視点を中心にリアルな図書館事情が描かれています。
「図書館では膨大な本をどう管理しているの?」
「本棚に入らなくなった本はどうなるの?」
「図書館における雇用の実態」
図書館には数え切れないほどの蔵書がありますが、新しく出版された本も順次取り扱っています。
では、図書館ではこの膨大な本を限られた空間でどう管理しているかご存知ですか?
棚に入らなくなったら古い本から捨てていくのか?はたまた寄付するのか?
廃棄や寄付をするとして、それらを決める基準は?など、言われてみると知らないな……と気づくことも多いでしょう。
さらに図書館司書は正規雇用が非常に少なく、司書資格を持っていても非正規でしか働けないことなど雇用形態にも問題点が多いです。
本作では、こういった図書館の実情に焦点を当てた話を完全な図書館視点ではなく、見習い的な立ち位置の石平くん視点でコミカルに描いています。
利用するだけでは知るのが難しい、図書館の裏側に触れられるのが「税金で買った本」の魅力のひとつと言えるでしょう。
真面目で不真面目、魅力的なキャラクター
本作の主人公・石平くんは静かなイメージの強い図書館には似つかわしくない、三白眼のヤンキー少年です。
しかし見かけとは裏腹に純粋で、本を破ってしおりにする迷惑客の住所を知るためにアルバイトを始めるなど素直な性格をしています。
他の図書館で働くメンバーも考え方や立場はそれぞれで、個性豊かなキャラクターが目白押し。
美人なのにどこか俗っぽい早瀬丸さんや、横暴な利用客の前でのみキャラ変する文化系筋肉の白井さんなど、見ていて飽きません。
ときに対立することもありますが、図書館をより良い場所にしたいという共通の思いから図書館運営に全力を注ぐ姿も眩しいです。
「知りたい!」という気持ちへの貪欲さ
「税金で買った本」では、図書館を「誰かに教えられるのではなく、知りたい人が本を開く学びの場所」と表現しています。
その言葉通り、作中は石平くんの「なぜ?」という感情を切り口にした話が多く、些細な疑問にもまっすぐ向き合おうとするのが特徴です。
疑問の矛先は知識的なときもあれば、利用者の行動に対することもあります。
知識的な内容なら調べれば答えが出ますが、人の感情はその当人にしかわかりません。
しかし本作では「調べてもわからないことを考えるのが無駄だとは思わない」とも語っていて、ときに想像を交えながら考えることも多いです。
明確な”答え”にこだわるのではなく、”知ろうとする”ことへの貪欲さがいい意味で魅力となっています。
主要キャラクターの紹介
「税金で買った本」の登場人物は、主人公の石平くんをはじめとする魅力的なキャラクターが多いです。
ここでは、主要な登場人物たちを簡単に紹介していきます。
石平紀一(いしだいらきいち)
三白眼のヤンキー高校生。
10年前に借りた本の紛失をきっかけに図書館へ足を運ぶようになり、アルバイトを始めました。
好奇心旺盛で、一度知りたいと思ったら納得がいくまで諦めません。
良くも悪くも子どものように純粋で恐れ知らずな一面があり、物事の本質をズバッと突くことも多いです。
早瀬丸(はやせまる)
図書館司書として働く女性で、石平くんの世話係。
黒髪眼鏡のおっとり系美人ですが、ときに激しいツッコミキャラに転じることもあります。
何かを知りたいと感じる気持ちを尊重していて、上手に誘導してあげるのが得意です。
白井(しらい)
図書館の資料係として働く男性司書。
元は貧弱な本好きでしたが、理不尽なクレーマーに遭遇するうちに「動物は自分より強いものには逆らわない」と気付いて自分を鍛え上げました。
基本的には礼儀正しいですが、理不尽な利用客には筋肉での解決を辞さない姿勢を取るせいで裏方に追いやられています。
今村(いまむら)
司書資格を持つ非正規職員の女性で、寄贈担当。
気弱で押しに弱く、不要な本まで受け取ってしまうため保管庫の壁が見えないほどの未処理本を溜め込んでいます。
朝野(あさの)
児童書担当の女性司書。
ざっくばらんで人当たりがよく、人をのせる能力に長けています。
石平くんの扱いが上手で、うまいこと児童書の読み聞かせを承諾させました。
角野(かどの)
本作に登場する図書館で唯一、正規雇用されている女性司書。
黒髪眼鏡のキリッとした立ち振る舞いが厳格そうに見えますが、基本的には落ち着きのある常識人です。
過去の経験から考える理想の図書館像を持っていて、選書会議では毎回のように梨原さんと揉めます。
梨原(なしはら)
図書館開館当初から働いている、ふわっとした雰囲気のベテラン女性職員。
利用者のニーズに合わせた選書をモットーにしていて、社会的価値を重んじる角野さんとは選書会議のたびに揉めています。
まとめ
参照:https://pocket.shonenmagazine.com/episode/316112896902014239
本作は図書館を身近に感じられるお仕事漫画です。
問題点や日々の仕事風景をコミカルに描いており、何気なく利用しているだけでは知り得ない図書館の姿を知るいいきっかけになるでしょう。
性別や年齢を問わず楽しめる作品なので、気になった方はぜひ手にとってみてください。
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それでは素敵な漫画ライフを!
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