今泉力哉監督にハマってしまい、監督(脚本作)を掘っています。
代表作といえば…
『愛がなんだ』(2018)
参照:http://aigananda.com/sp/
山田テル子(岸井ゆきの)の田中マモル(成田凌)に対する一方通行の恋を描いた作品です。
テル子がマモちゃんに尽くそうとすればするほど、マモちゃんの気持ちは離れていって。
でもマモちゃんが人恋しくなった時に、都合よく呼び出されたりするテル子。
それでも、マモちゃんに尽くそうとする彼女の姿は、程度差はあれど多くの共感を生んだのだと思います。
そういえばこないだ、リアル・マモちゃんのようなクズに遭遇しました。
付き合っていた彼女と別れる際に、自分から振ったのに「俺もしんどい」「嫌いになったワケじゃない」と悪者にならないように振る舞ったり、
新しい彼女と付き合い始めたけれど、元カノとは仲良しでいたいからと相手の気持ちも知らずに都合の良い関係を続けていたり。
作中でスミレさんが言っていたような、
女子が「お腹空いた」といえば、「俺は空いてない」と返す男子そのもの。
そんな絵に描いたような自分中心的なクズだったのですが、その底抜けにクズな感じが振り切っていて清々しくもあり。
ハマってしまう人は大変だなぁ…。
「マジで無いわ」とか言いながら、LINEが来たら結局行ってしまうんだろうな…。
でも、そんなリアル・マモちゃんにハマってしまったリアル・テル子も実際にいたワケです。
そりゃ共感される映画になるワケだ。
今泉監督は、テル子のような「分かっちゃいるけど、どうにもならない」感情の表現が繊細で巧いと思います。
僕が今泉監督の作品を好きになった理由です。
『パンとバスと二度目のハツコイ』(2017)
参照:https://movies.yahoo.co.jp/movie/361999/
パン屋で働く市井ふみ(深川麻衣)の前に現れた、ふみが昔好きだった人・たもつ(山下健二郎)。
たもつは、馬鹿みたいに別れた奥さんを想っていて。
そんなたもつに対して、ふみは「どうしたらそんなに一人の人を好きでいつづけられるの」と問う物語です。
ここに出てくるたもつも、自分でもどうかしてることは分かっていて、それでもどうしようもなく奥さんが好きなキャラクター。
非合理的で自分でも説明できない感情と対峙しながら生きていく様子が描かれます。
『his』(2020)
参照:https://www.cinra.net/news/20191211-his
ゲイである迅(宮沢氷魚)と渚(藤原季節)の恋愛。
迅と渚は恋人同士だったわけですが、渚が突然迅に別れを告げたことで離れ離れに。
それ以降、迅は自分のセクシャリティーを隠しながら生きていきます。
が、彼の目の前に突然娘を連れた渚が現れて…。
この物語でも、渚のことを許せない気持ちがあるはずなのに、どうしても許してしまうほど好きでいる自分が情けなくなる…というような迅のアンビバレントな気持ちが描かれています。
「分かっちゃいるけど」自分でも制御できないのが、難しいところ。
さらに自己中な理由で振り回された渚の奥さんの心情も丁寧に描かれていて、切ない。
『mellow』(2020)
参照:http://mellow-movie.com/
こちらは恋愛群像劇。
優しくてモテる花屋さん・夏目誠一(田中圭)と、彼に想いを寄せる女性たちの物語です。
不器用な片想いを、ぞれぞれがどうやって踏ん切りをつけていくのか。
そんな恋の終わらせ方、次への進み方にスポットが当たっている作品になっています。
良いセリフがたくさん出てきます。
今泉監督は、脚本も書いていらっしゃいますが、セリフも自然で面白くて素敵なんです。
脱線しているようで、芯を食っている感じのセリフが、本当に素敵です。
他にも…
『退屈な日々にさようならを』
『サッドティー』
『知らないふたり』
など、今泉力哉監督の監督作は多数あり、そのどれも繊細な感情表現と素敵なセリフに溢れています。
まだ見ていない人は、ぜひ一度チェックしてみてください。
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