2018年3月10日公開の映画『坂道のアポロン』。
映画化される作品の原作漫画を書店に並べるのが僕の仕事。
かねてより気になっていた『坂道のアポロン』だから、この際読んでみることに。
そして読むこと数分後、胸が苦しくなるほどの感動に全身が震えています。
原作漫画『坂道のアポロン』。
この感動を伝えたい。
めちゃくちゃオススメです。
それでは早速『坂道のアポロン』を紹介していきます!
原作漫画『坂道のアポロン』の感動を伝えたい!
『坂道のアポロン』小玉ユキ(小学館)
漫画『坂道のアポロン』とは
基本情報
『月刊フラワーズ』(小学館)にて、2007年11月号から2012年3月号まで連載された。
同年5月号から9月号まで番外編「BONUS TRACK」が掲載された。
単行本は全9巻と番外編1巻。
作者にとって、1巻を超える長さの連載作品は初めてである。
『このマンガがすごい! 2009』オンナ編で1位を獲得。
第57回小学館漫画賞一般向け部門を受賞。
出典:Wikipedia
あの漫画業界で影響力の大きい賞「このマンガがすごい!」2009年に1位に選ばれた名作です。
映画化される原作漫画って、やっぱり映画化されるだけのコンテンツ力や人を惹きつける魅力があります。
御多分に洩れず漫画『坂道のアポロン』も共感と感動で胸がいっぱいになる良作。
心を込めて魅力を紹介します。
漫画『坂道のアポロン』の主要な登場人物とあらすじを紹介
物語は1966年、長崎の佐世保が舞台です。
主人公・西見薫が、佐世保の高校に転校してきたところから始まります。
「札付きのワル」と周囲から恐れられていた不良生徒の川渕千太郎と出会い、ジャズを通して意気投合。
薫は千太郎と、そして千太郎の幼馴染の律子と3人で、今まで経験したことのない「青春」の時を過ごします。
西見薫
実写映画ではHey!Say!JUMPの知念侑李くんが演じたキャラクターです。
父親の仕事の都合で、横須賀から長崎の佐世保にある高校へと転向した眼鏡で地味めな男子高校生。
薫が幼い頃、薫を置いて母親が出ていってしまったことから、父親と親戚に育てられます。
出ていった母親のことから親戚にいびられたり、さらに医者になる将来を期待されプレッシャーをかけられており、家庭に居場所がありません。
学校も転校を繰り返していることから、佐世保の高校での新たな生活にも何も期待していませんでした。
がしかし、ある日、屋上の入口前で校内一の不良・川渕千太郎と運命的な出会いを果たします。
真反対の2人でしたが、「音楽」を通じて意気投合します。
さらに千太郎の幼馴染の迎律子とも仲良くなり、それは次第に恋へと発展してゆくのです。
川渕千太郎
校内一の不良として知られていた千太郎。
映画では俳優・中川大志くんが演じています。
喧嘩を売っては生徒を殴ったり、授業にはろくすぽ出なかったり、何かと素行の悪さで有名。
そんな千太郎は、転校生の薫とジャズを通じて仲良くなります。
兄弟のたくさんいる千太郎は、弟や妹たちの前では面倒見の良いお兄ちゃんですが、実は彼だけ兄弟と血の繋がりはありません。
拾い子だった千太郎は、自分だけアメリカ人の血が混ざっていることから、いじめられたり家族に見捨てられた経験を持っています。
薫や幼馴染の律子とのふれあいを通じて、過去を乗り越えようとする、根は良い奴すぎるくらいに良い奴、それが千太郎です。
迎律子
レコード屋の娘・迎律子。
注目女優・小松菜奈さんが演じています。
薫が転校してきた際に、校内を案内してまわってあげるほど、真面目で優しい性格の持ち主です。
薫と千太郎は、律子のレコード店の地下室にある音楽の練習空間で出会い意気投合したことから、2人が仲良くなっていく様子を微笑ましく見守ります。
それと同時に律子は物語の中で千太郎と薫へ恋心を募らせる甘酸っぱいキャラクター。(もちろん別々のタイミングで。)
原作漫画『坂道のアポロン』魅力①:淡くて切ない青春描写に胸が張り裂ける!
この漫画の一番の魅力は、「青春」の描き方です。
あまり学校に良い思い出もなければ、心を許せる友達もいなかった転校生・西見薫。
そんな薫が、千太郎と出会って、「友情」の良さを知って行く様子が活き活きと描かれています。
ただ、彼はずっと常に仲良しとして描かれているわけではありません。
相手を大切に想っているからこそ、意固地になってしまったり、不本意に傷つけてしまったり。
「あんなこと言うつもりじゃなかったんだ」と薫が後悔するすれ違いも多々あります。
そういうすれ違いを繰り返しながら、地層のような2人の友情が積み重なって、強固なものになってゆく。
この漫画で描かれている「友情」は、難しくてもどかしくて、でもだからこそ強いのです。
原作漫画『坂道のアポロン』魅力②:もどかしい3人の恋の行方!
そして薫の「恋」も、「青春」の大きなワンシーン。
物語の前半、薫は律子に恋をします。
けれど、律子が好意を寄せていたのは、薫の親友・千太郎でした。
その気持ちに気づいた薫は、ほんの少しでも期待をした自分を恥じ、2人の邪魔にならないように身を引こうとします。
でも、心のどこか奥の方で千太郎のことを羨んだり、妬んだりしている自分がいたり…。
この律子への薫の想いは、成就するのでしょうか。
とにかくこの原作漫画を読んでほしいです。
薫の葛藤は多くの人の共感を呼ぶと思います。
青春時代の不器用でいじらしい姿に当時の自分自身を重ねてしまうこと間違いなしです。
もちろん薫だけでなく、律子の恋も、千太郎の恋も、描かれます。
皆、うまくいかない恋に葛藤するんです。
ちょいと、青春すぎやしませんか。
原作漫画『坂道のアポロン』魅力③:1966年の時代風景が、ノスタルジックで温かい!
時代設定として、1960年代後半が描かれます。
日本は高度経済成長期の真っ只中。
場所は長崎の佐世保なので東京のような都会が発展していく様はそこまで描かれませんが、昔ながらの学ランや生徒たちの会話、家の風景から、ありありと時代感が伝わってきます。
例えば、律子の家は律子の父親が経営する「レコード屋」です。
この薫が手に持っているのが、レコード。
ここで薫は千太郎と出会い、千太郎が演奏していたジャズに初めて触れ、帰りにジャズのレコードを買って帰るのです。
いいですよね、レコード。
ずらっと並んだレコードをめくりながら探していくところが、なんともレトロで趣があります。
また、薫たちが通う高校では、学園祭に向けてジャズに対抗する勢力としてロックバンドが現れました。
そう、ビートルズの影響ですよね。
伝説のロックバンドに憧れ、ジャズなんて古い音楽、時代はロックだ、とクラスメイトがバンドを組み出すのです。
結局、薫と千太郎の息のあったジャズのセッションにはかなわず、2人の奏でるジャズは校内の評判になるのですが。
この1960年代の「青春」に設定することで、その時代を生きていた人もそうでない人も、遠い「あの頃」の想い出としてノスタルジックな気持ちになれますよね。
作品全体を通して流れるレトロな世界観も、この作品の大きな魅力です。
タイトル『坂道のアポロン』の『アポロン』の由来とは??
この作品のタイトル『坂道のアポロン』は、なんとなく印象深く耳に残りますが、一体どういう意味なのでしょうか。
「坂道」とは
まず「坂道」とは、西見薫が転校し千太郎や律子と出会った佐世保の高校の前に広がる「坂道」のこと。
一巻の冒頭で、薫はこの坂道を登りながら、「忌々しい。なぜ人は坂の上なんかに学校を作るんだ」とぼやくシーンから始まります。
その後も何度も何度も、この坂道は登場し、彼らの青春を見守る場所として、そこに在り続けます。
「アポロン」とは
気になるのは「アポロン」の方です。
「アポロン」とは、ギリシャ神話に登場する太陽神アポロンが由来。
この太陽神アポロンは、オリュンポス十二神の一柱であり、ゼウスの息子として知られている神様で、詩歌や音楽など芸術の神様らしいです。
そして作中では、この太陽神アポロンについて、以下のような逸話が語られています。
「河神の娘であるラフネに恋をしたアポロンは、彼女を追い続けてもラフネには逃げられ続け、最終的にはその姿を月桂樹に変えてまでしてアポロンを拒んだ」
つまり、アポロンが「音楽」の神様で、「かなわぬ恋」をしていたことを踏まえると、
この「アポロン」は、西見薫のことであり、千太郎のことであり、律子のことなのかも知れません。
それぞれの想いが音楽とともに交錯する、坂道の淡い青春物語。
それが、『坂道のアポロン』の由来だと思います。(あくまで個人的解釈です)
実写映画『坂道のアポロン』が2018年3月10日から公開!
Hey!Say!JUMPの知念侑李くん、中川大志くん、小松菜奈さんという豪華キャストで『坂道のアポロン』が実写映画化されました。
監督はあの青春名作映画を何本も生み出している三木孝浩監督です。
「大人も楽しめる映画」を目指して制作されたということで、単なるティーンムービーとは一味違うようです。
原作にとても忠実だと、ファンからの評判もなかなかのようでした。
予告編はこちら!
「坂道のアポロン」予告編
ともあれ、まずは予習として、原作の漫画『坂道のアポロン』をぜひ読んでいただきたい!
この胸の張り裂けそうな青春を、原作の漫画でも、映画でも、感じれたら最高ですよね。(アニメもあります。)
ぜひ読んでみてください。
名作です。。。
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