漫画家・浅野いにおのおすすめ作品8選を徹底紹介!

10代、20代にカリスマ的人気を誇る漫画家、浅野いにお先生のおすすめ作品8選を紹介します。

浅野いにお作品のなかでも、前衛的な表現方法や圧倒的なストーリー展開で話題となった「おやすみプンプン」は有名ですが、ほかにも映像化された作品は多いです。

近年では、「デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション」のアニメ劇場版が公開され話題に。浅野いにお先生の作品が気になる方のために、独特の作風や世界観を楽しめる人気作品の魅力をまとめました。最後までぜひご覧ください。

 

休日前にゆっくりと読みたい浅野いにお先生のおすすめ作品8選

おすすめ作品①『おやすみプンプン』(2007)

あらすじ
ある日のこと、プンプンはクラスにやってきた転校生・田中愛子に一目惚れ。彼女から「もうすぐ地球は人の住めない星になる」「別の星に移住しないと人類はメツボーしてしまう」という話を聞いたプンプンは、今日出された「将来の夢」の作文に、「宇宙を研究する人になりたい」と書こうと思い立つ。だが翌朝、プンプンが起きると家の中が大変なことに…?
参照:https://booklive.jp/product/index/title_id/194244/vol_no/001

累計発行部数300万部発行のヒット作品であり、第13回文化庁メディア芸術祭マンガ部門の審査員委員会推薦作品に選出された、浅野いにおの代表作のひとつです。

どこにでもある街のどこにでもいそうな少年「プンプン」とヒロイン「愛子」を中心に物語は進み、「小学生」「中学生」「高校生」を経て、思春期から青年期にかけてのプンプンの成長と周囲とのかかわりを描きます。

読者それぞれの主観を投影できるようにと、デフォルメした鳥のキャラクターとして登場するプンプンとその家族の姿が特徴的で、なんとも言えない不気味な印象も。

何気ない日常のなかに鬱鬱とした現実を描いた秀作で、サスペンス要素を含み一気に物語が進む後半は見応え満載です。

(小学館・ヤングサンデー、ビッグコミックスピリッツにて連載、全13巻完結済み)

 『おやすみプンプン』を読む 

 

おすすめ作品②『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』(2008)

あらすじ
3年前の8月31日。突如 『侵略者』の巨大な『母艦』が東京へ舞い降り、この世界は終わりを迎えるかにみえた――
その後、絶望は日常へと溶け込んでゆき、大きな円盤が空に浮かぶ世界は今日も変わらず廻り続ける。
小山門出(こやまかどで)、中川凰蘭(なかがわおうらん)、2人の女子高生は終わりを迎えなかった世界で青春時代を通行中!
『ソラニン』『おやすみプンプン』の浅野いにお最新作!2人の少女のデストピア青春日常譜、開幕。
参照:https://booklive.jp/product/index/title_id/291239/vol_no/001

2021年第66回小学館漫画賞一般向け部門受賞、2022年に第25回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞した作品です。前・後半の2部作で2024年に映画化されました。主人公の声優に人気歌手2人を起用するなど、注目の作品でもあります。

幼馴染の女子高生、小山門出と「おんたん」こと中川桜蘭が主人公。突然やってきた巨大な宇宙船によって日常生活が脅かされながらも、ふたりの変わらない友情と日常を描きます。

作中に出てくる漫画「イソベやん」は主人公の門出が大好きな漫画です。「ドラえもん」と「サザエさん」をオマージュした独特の作品で、ブラックジョークながらほっこりした結末が本編に味わいを持たせています。

(小学館・ビッグコミックスピリッツにて連載、全12巻完結済み)

 『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』を読む 

 

おすすめ作品③『うみべの女の子』(2009)

あらすじ
◆恋というには強かで打算というにはあまりに脆い……浅野いにおが描く、身勝手で切実な十四歳の青春。待望の最新作!◆海の近くの小さな町に暮らす平凡な中学生・小梅。小梅に思いを寄せる、内向的な同級生・磯辺。思いよりも先に身体を重ねてしまった二人。秘密の時間を過ごせば過ごすほど、心の距離は遠ざかっていく――。
参照:https://booklive.jp/product/index/title_id/175553/vol_no/001

ある田舎の海辺の町を舞台にした思春期の少年少女の恋愛を描く物語です。中学生の「性」と「恋」をテーマに、思春期の男女の気持ちが繊細に描かれています。

主人公は小梅と磯辺。小梅は憧れの先輩にひどい扱いを受け、そのうさばらしに以前告白された磯辺を呼び出し身体の関係を持ちます。中学生らしい身勝手な感情と肉親を失った空虚な心を満たすように、お互いの身体を求めあう姿を赤裸々に描いた作品です。

心と身体がアンバランスな「恋」を知らない中学生が興味本位に始めてしまった不穏な関係は、海で拾ったSDカードに映っていた少女「うみべの女の子」をきっかけにして変わっていきます。作品終了後もファンが多い作品で、2021年に映画化されました。

(大田出版・マンガエロティクスエフにて連載、全2巻完結済み)

 『うみべの女の子』を読む 

 

おすすめ作品④『ソラニン』(2005)

あらすじ
大学を卒業して1年が過ぎ、OA機器メーカーのOL・井上芽衣子はあることを実感するようになっていた……「わたしは社会人には向いていない」。とはいえ、自分に特別な才能がないと自覚してしまった今となっては、もはや人生のレールを外れる勇気もないというのが現実。多少辛くても、頑張ってつつましく生きていくしかないのだと、彼女は今日も会社へ向かうのだったが…
参照:https://booklive.jp/product/index/title_id/183105/vol_no/001

2010年に宮崎あおいと高良健吾のW主演で映画化された作品です。社会人2年目の芽衣子とイラストレーターの卵として割の合わないバイトに明け暮れる種田が主人公。2人は同棲して楽しい日々を送るものの、先が見えない不安にもかられる毎日です。

ある日、芽衣子は2人の関係を先に進ませたくて、種田がバンドを始めることを後押しします。現実を見る種田は、1カ月だけと期限を設けてチャレンジするも、予想外の結末を迎えることに。

浅野いにお先生の作品は独特な世界観のものが多いですが、『ソラニン』は王道の青春漫画とも言える作風で、浅野作品をはじめて読む方にもおすすめです。青春や夢と現実の間で揺れ動く若者の葛藤を描いた作品として定評があります。

(小学館・ヤングサンデーにて連載、全3巻完結済み)

 『ソラニン』を読む 

 

おすすめ作品⑤『零落』(2017)

あらすじ
浅野いにお、衝撃の新境地へ――
ある漫画家の、脇目もふらず駆け抜けてきた連載が終わった。久しぶりに立ち止まった自分に残されていたものは、残酷なまでの“空虚感”だった。
大切な存在ほど信じ切れず、束の間の繋がりだけに縋り始める日々―――
漂流する魂が着地した時、男の本当の姿が現れる。
浅野いにお、極限の最新作。
参照:https://booklive.jp/product/index/title_id/471265/vol_no/001

主人公は、ヒット作を出したのちスランプに陥った漫画家「深澤薫」。長期連載が終わり、燃え尽きていて、新しい作品がしばらく描けていない現状は、まさに「零落」状態です。

漫画編集者の妻との関係性の悪化やアシスタントチームの解体で女性アシスタントになじられるなど、なにもかもうまくいかない現状で、ひとりのデリヘル嬢と出会います。今とは違う幸せが一瞬頭をよぎるも、結局東京に戻ることを選択する深澤。

往来の浅野作品にあるポップさやコミカルな作風とは打って変わって、静かに淡々と進行するストーリーはサスペンス的とも言えるでしょう。著者の実体験をもとに描かれたと言われるほど中年漫画家のリアルな私生活が描かれており、半自伝的漫画ともいえる作品です。

(小学館・ビッグコミックスペリオ-ルにて連載、全1巻完結済み)

 『零落』を読む 

 

おすすめ作品⑥『素晴らしい世界』(2002)

あらすじ
戸川ゆり子、23歳。大学の音楽サークルで、バンドのボーカルとギターを担当している。カラッとした性格の彼女は、後輩の男の子たちに慕われる人気者。だがその頼られまくりの状況がイヤになり、あっさり大学を辞めてしまった。かといって、その後の生活のあてはない。半年後、久しぶりに出掛けた商店街のライブハウスはつぶれており、そこで偶然再会した以前のバンド仲間・藤井も金髪・ツンツンのパンクヘアーを、ごく普通の髪形にして就職活動をしていた。さらにアパートに帰ると、なんと火事で丸焼け。24万円したギターもアンプも、通帳も印鑑も全部灰になってしまった。土手に寝ころがって呆然とするゆり子。そんな彼女の前に、ゆり子を心配して探しに来た藤井がやって来た…
参照:https://booklive.jp/product/index/title_id/209693/vol_no/001

浅野いにお先生の初連載作品。ひとつひとつの作品は独立しており、短編の読み物として楽しめますが、それぞれの話に出てきた登場人物たちが少しずつ関わりを持ちながら、ラストまで突き進んでいきます。

主人公には、しがない自堕落なOL、売れない漫画家、夢をあきらめきれない元バンドマンなど、さまざまな男女が登場。1話オムニバス形式でストーリーが展開します。

初期作品ながら、自分が未来に描いていた生活とは違う人生を歩んでいるという焦燥感や諦観・諦念・失望感といった感情を繊細なタッチで表現しており、読者の共感を得る手法は見事です。

最後にほんの少し「世の中も捨てたものではない」と感じられるシーンには心がほんのり温まります。

(小学館・サンデーGXにて連載、全2巻完結済み)

 『素晴らしい世界』を読む 

 

おすすめ作品⑦『世界の終わりと夜明け前』(2008)

あらすじ
▼無題▼夜明け前▼アルファルファ▼日曜、午後、六時半。(夏の思い出/ア ガール イン ブリリアント ワールド オブ ア ボーイズ デイドリーム/帰宅)▼超妄想A子の日常と憂鬱▼休日の過ごし方▼17▼素晴らしい世界▼東京▼世界の終わり▼時空大戦スネークマン
●あらすじ/彼女との別れ話でもめていた友人・飯田に仲介役を頼まれた「俺」。だが、待ち合わせ場所に飯田が現れず、「俺」は飯田の彼女と2人でオールナイトのボーリング場に行く。いっそのこと飲みに誘おうかも考えたが、朝イチの会議までに企画書を完成させないといけない「俺」は、ただ無駄な時間をどうでもいい会話で費やしていく…(夜明け前)。
●本巻の特徴/デビュー連作の短編「素晴らしい世界」、構想6年の渾身作「東京」を含む、心ざわめかす単行本未収録作品10編+α。描き下ろし、カラーも多数収録!!
参照:https://booklive.jp/product/index/title_id/329465/vol_no/001

完全に独立したストーリーを集めた、浅野作品としては珍しい短編集です。初期作品から、最新のものまでを一冊に集めており、浅野いにお先生の画力の美しさを堪能できます。

収録されている内容は、『夜明け前』・『アルファルファ』・『日曜、午後、六時半。』などの12作品です。巻末の『世界の終わり』と『時空対戦スネークマン』は、この単行本に収録するための書き下ろし作品となっています。

特に近年の作品では、ポップなキャラクターと写実的な背景が美しく描かれている点が印象的です。虚無感を感じる日常を描きながらも、それでも世界は美しいと感じさせる作品が多く、暗さばかりではないほのかな灯りがともるようなラストに感銘を受けます。

(小学館・週刊ヤングサンデーにて連載、全4巻完結済み)

 『世界の終わりと夜明け前』を読む 

 

おすすめ作品⑧『MUJINA INTO THE DEEP』(2023)

あらすじ
浅野いにおが放つ衝動…衝撃最新作!
マンガは次の”領域”に突入する――トップランナー・浅野いにおの最新作!
何気ない日常の中、刀を背に空を翔び、人を殺める「ムジナ」の実体とは…?
人間とは、社会とは、人権とは、そして幸せとは…気づけば己に問われる全く新たな衝撃作!
参照:https://booklive.jp/product/index/title_id/20067065/vol_no/001

社会・人権・幸せとはなにかを問う、浅野いにお先生の最新作。刀を持ち、空を飛び、人を殺すムジナたちはどのような存在なのか。人権がカードで管理されている世界で、人権を持たない存在であるムジナの活躍を描く作品です。

1話の冒頭から、刀を持った少女が都会のビル群を飛び回りながら闘うアクションシーンが目を惹きます。最強の殺し屋「ウブメ」、家出少女「ジュノ」、中年のゲーム会社社長「テルミ」の奇妙な同居生活と裏世界に生きるムジナたちの活躍を描く作品です。

現代社会の闇をリアルに描く話題作。若者の抑圧された感情や自由への渇望を象徴するインフルエンサー「テンコ」やムジナの存在意義など、社会風刺の効いた作品となっていて、浅野いにお先生の強いメッセージが心を打ちます。

(小学館・ビッグコミックスペリオールにて連載、連載中)

 『MUJINA INTO THE DEEP』を読む 

 

まとめ

高校在学時に漫画家デビューし、20年以上のキャリアで今なお第一線で活躍する浅野いにお先生。独自の世界観や作風で今なおファンを魅了し続けています。

学生時代にバンドマンとして活躍した経歴から、作詞家としても活躍。「ソラニン」のメインテーマや2024年公開の「デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション」でも、挿入歌の作詞を担当しています。

また、イラストレーターとしての活躍ぶりも見事で、まさに新時代の漫画家として注目の存在です。ぜひ本記事を参考にして浅野いにお先生のおすすめ作品をチェックしてください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

ABOUTこの記事をかいた人

本メディア『お前は笑うな。』は、本・漫画・電子書籍・VODなどオススメのエンタメ情報を発信するメディアです。 運営は、株式会社ロビンソン・クルーソー。 元・電子書籍の書店員だった代表をはじめ、様々なエンタメ分野に精通するライターによって、最新のエンタメ情報を提供してゆきます。