設定がとにかくぶっ飛んでいる。
振り切っている。
ありそうでなかったそのシチュエーションに、釘付けになります。
…ん?
でも機械のじいちゃんって、なんで?
……っまぁ、そういう人に読んで頂きたいです、オススメですよ。
『いぬやしき』奥浩哉(講談社)
それでは早速『いぬやしき』を紹介していきます!
オススメ漫画『いぬやしき』とは
雑誌『イブニング』(講談社)にて2014年4号から2017年16号まで連載された完結漫画です。作者はあの『GANTZ』を描いた奥浩哉。
『いぬやしき』あらすじ
冴えないサラリーマン、犬屋敷壱郎が主人公。
この犬屋敷は50代にも関わらず見た目がだいぶ老けて見える。
会社はもちろん、家族からも頼りない存在として扱われ、釈然としない毎日を過ごしている。
そんなある日、飼っている犬を散歩に連れて行った犬屋敷は、公園の丘の上で空から何かが降ってくるのを目撃する。
気が付くと朝になっており、犬屋敷は公園で横たわるようにして寝ていた。
何事もなかったかのように家に帰り、いつもと変わらぬ日々を過ごしていた犬屋敷は、とある瞬間に自分が機械になってしまっていることに気が付く…!
自分が自分でなくなってしまっているようで絶望する犬屋敷であったが、機械になった身体で人を救うことができると知り、
それは今まで冴えない日々を送ってきた彼にとって、この上ない生きる喜びだった。
ちょうどその頃、街では無差別連続殺人が起きていて…。
『いぬやしき』をオススメする3つの理由!
アニメ化、そして映画化までされた話題沸騰の漫画『いぬやしき』のオススメポイントを3つにまとめてご紹介いたします。
読まなきゃ損っすね。これは。
引用:奥浩哉「いぬやしき」×久慈進之介「PACT」特集、異なる作風のSF作家対談 (1/3) – コミックナタリー 特集・インタビュー
オススメ① 機械になったことで「生きる喜び」を知る皮肉!
主人公、犬屋敷は機械になった身体で空を飛び、悪い奴らを撃退し、瀕死の人間を蘇らせます。
そのスケールのでかい機能を駆使するシーンは、見ごたえ抜群です。
ただ、それ以上に良い描写があって、それが「生きる喜び」を実感するところ。
今までは気弱で冴えない人生だったけれど、想像をはるかに超えたスペックを手にし、その能力を人助けに利用してゆくうちに、犬屋敷はそれまで感じることの出来なかった「生の喜び」を実感します。
泣くんです。いいおじいさん(おじさん)が、生きてる…!っつって泣くんです。感動します。
たとえ機械になったとて、犬屋敷は犬屋敷だし、
機械になったからこそ、果てしない能力を得たからこそ、その人の人間性がよりくっきりと浮かびあがってきたということです。
だとすれば、やっぱり犬屋敷壱郎、めっちゃいい奴。
(ちなみに映画では、とんねるずの木梨憲武さんが演じています。)
オススメ② 人を殺し続ける高校生・獅子神皓の闇がリアル!
そんな犬屋敷と対峙する存在となるのが、高校生の獅子神皓。
獅子神は、犬屋敷と同じタイミングで公園にいた人物であり、同じく機械の身体になってしまったのです。
そんな彼は、人を救う犬屋敷とは違い、その能力を人を殺すことに使います。
全く無関係な民家に侵入し、その家族を惨殺してゆきます。
しかも表情一つ変えずに、どんどん撃ち殺していくのです(手の先から銃の弾が出るようになっており…)
獅子神は、人を殺している時、「生きている」と実感できると語ります。
そのサイコパスな感覚が、むしろリアルなのです。
実際に世を騒がせる凶悪犯も、こういう供述をする人ってのはいたりするよなぁと。
彼の場合、機械になったことで心の「闇」の部分が顕在化したパターン。
犬屋敷とは正反対です。
そして、犬屋敷は巷の連続殺人犯が機械の獅子神であることを知り、2人は正義と悪の対立を繰り広げるように。
面白い!
(ちなみに映画で獅子神皓を演じているのは佐藤健さんです。)
オススメ③ 臨場感あふれるタッチ!この世界は現実なのか!?
作者、奥浩哉さんは代表作『GANTZ』で知られています。
そのタッチは作品によって自在に変わりますが、特に『いぬやしき』は写実的で超リアル。
あたかも現実の世界と見まがうほどの臨場感に圧倒されます。
実際、奥浩哉さんもT-SITEのインタビューにて、現実と虚構の境目がわからなくなるような作り方をしていると語っていました。
というか、某ワイドショーのキャスターだったり、実在する駅だったり、某アメリカ大統領だったり…。
様々な現実世界にあるものが登場します。これ、結構面白いです。
そして、画のリアリティや臨場感を推している分、セリフは少なめですらすらと読めてしまうところも魅力の一つ。
読まない手はない一冊ですね。
オススメ漫画『いぬやしき』は10巻の完結漫画!
すでに計10巻で完結している『いぬやしき』。
ボリューム的にも読みやすく、迫力満点。
臨場感あふれる世界に、ページをめくる手が止まらない……。
そもそも人が機械になってしまうって時点でぶっ飛んだ世界観であるはずなのに、どんどんとのめり込んでいってしまうのは、きっと機械になったからこそ垣間見れる人間性の部分が繊細に描かれているからでしょうか。
大胆かつ繊細ってまさにこのこと。
この世界観をぜひ味わってみてくだされ…!
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